2016年8月5日金曜日

[読書録] アップルを超えるイノベーションを起こす IoT時代の「ものづくり」経営戦略

読んだのが少し前だったので、記憶が若干あやふやな点もあるが、自分がとっておいたメモを元にこの本から学んだことを書き留めておきたい。


著者は、IBMをはじめとしたものづくりの外資系で活躍し、今は母校である日本の理系大学にて国際競争力を高めるべく活動している。


実際に、国際的な現場で十分な経験をした上で、現時点ではビジネスとは少し距離を置いた学術の世界にいるということで、信頼できそうな情報ソースだと思い、手に取った。


読後、3ヶ月近く経っている今の時点で残っている印象としては、

・IoTはものづくりに優れた日本が世界で勝てる領域。今が勝負のタイミング。

・日本の経営スタンスでイノベーションの弊害になっているものがある。特にソフトウェアエンジニアを評価する必要性がある。

・日本人は、世界を見渡しても、かなり"いい奴"。一番、一緒に働きたいと思える存在。

の3点だった。


それを含め、印象だったポイントを下にメモしておく。

--------------------------------------------------------------------

#アップル製品は、マニュアルはあっても誰も読まないが、直感的に操作できる。動かすだけで気持ちいい。使えば楽しい。持っているだけで満足する。

商品は頑張って使って、その先のメリットを得るのではなく、使うこと自体が楽しいって状況。

これは大事だなって思う。

実際に、習慣化するのものって、その行動に障壁がないものだと思うし、障壁がない=使いたくなるだと思うので。


#海外の経営者は、経営指標であるROEによって、採算が悪い事業があれば投下した資本を引き揚げて、新たな事業に再配分している。

一度始めてしまったことに対して、すぐに辞める決断ができるのは、明確なKPIがあってことだと思う。

それを定めているっていうこと自体が重要だと思う。


#箸の先にセンサーを入れるとする。食事をするとき、どの皿に箸を伸ばしてどのくらいの頻度で口に運ばれたかが、センサーによって測定されます。頻度の高い皿にのっていたものが美味しいと感じるものなのかもしれない。

IoTの具体例として出ていたが、こんな感じで応用先は、これ以外にもたくさんあると思う。

データマイニングが定量的にえられたデータから最適な解を出すものである一方で、IoTはそもそもその材料となるデータを提供する分野。

こういった応用が増えていくであろうことは必然だなと。


#GEのデータレイクとプレディックス

データレイクとは、
「非構造化データ」を管理するのに適した仕組みで、簡単に言うと「多種多様なデータ形式を飲み込んで貯めておけるような広大な領域」です。
とのこと。要は、どんな角度で分析でするかが決まっていないため厳密にデータ構造を決めずに、貯めることを目的とした方法とのこと。

確かに、データ分析をする立場から考えても、まずはデータを触ってみないとどういう方向性でデータを貯めるべきかも判断がつかない。

それゆえ、とりあえずデータをためておくという方向性は合っている気がする。


#日本は、30年後には人口が減り、GDPが落ち、国際社会での存在感が薄れる。結果、資源を優先的に売ってもらえなくなる。

今の日本が豊かなのは、GDPの順位が高く、それゆえ資源確保ができるからなんだなって思うと、国際社会での立ち位置って大事だなって思う。


#多国籍企業が地域ごとに最適化を図る経営組織であるのに対して、グローバル企業は地球全体のことを考えて、最適解を一つだけ実行する組織。アップルがその最たる例。

あまり、こういう視点で企業のあり方を見ることはないので、勉強になった。


#日本企業はソフトウェアエンジニアをハードウェアエンジニアと比較して二流社員とみなす傾向がある。故に、下請けに外注するのが一般化する。この企業姿勢では、ソフトウェア企業が育つ土壌はない。

これは、その通りだと思う。

ソフトウェアベースで変えられるものって多いと思うし、そこから得られるメリットも大きいと思う。

それゆえ、その分野のノウハウを自社内でもたないのはとても勿体無い。


#顧客ニーズに応えるアウトカムを優先するSP型経営。Facebookは、知りたい、仲間になりたい、といった、国や人種や性別や経済力に関わらず誰もが抱く欲求を満たすものだった。

内容を忘れてしまったので、他の方のブログより引用
http://d.hatena.ne.jp/nakorake/20151010/1444445891

OE型経営(Operational Excellence): 最優先は規格、差別化は生産手段や形式知、評価項目は品質や生産性、市場焦点は流れを変える、議論はプロセス。 
SP型経営(Strategic Positioning): 最優先は顧客ニーズ、差別化は人・知識といった暗黙知、評価項目は創造性、市場焦点は潮目を変える、議論はデザイン(設計)。




#企業経営というのは、お客様、社員、株主という、利益が相反する人たちをすべてハッピーにしなければならない。

"利益が相反する"っていうのが難しいところ。

うまくいかないとき、その前提があることを忘れないことが大事だと思う。


#社員それぞれのスキルや仕事に対する想いは実際にその人にあって、ひざを付き合わせて話をしてみなければわからないことがたくさんある。

自分のことを経営者が知らないように、チームメンバーのことを(チームリーダーである)自分も知らないんだろうなって思う。

無知の知の必要性を考えさせられる。


#海外人材には、ルールや評価は明確にして、目標や報酬、部下への指示も紙に書いて残すくらいの姿勢が必要。日本人とは価値観が違うので考慮する必要。

海外人材がメンバーになったら、確かに考えねばいけない気がする。

日本人だと、頑張っていることが美みたいなところがどうしてもあるから。


#海外の人と仕事する上で大切なのは、英語よりも教養。歌舞伎や能、織田信長と徳川家康の違いなど。

日本の歴史を勉強しなおす必要が出てきそう。。


#チャンスを逃さないためには、目線を高くすること。新しいテクノロジーの登場、ユーザーニーズの変化、経済環境の変化といったことは世の中を高い目線から俯瞰しなければ、視界には入ってこない。

今の時点で、自分に必要な情報が入ってくるような環境を作っておかないと、数年後に損をしてしまう気がする。


#日本人は真面目で、コツコツ働く実にイイヤツです。大震災のときに、暴動も起こさず助け合った姿には世界中が感動した。道に100万円が落ちていたら警察に届けて落とし主に返される。この美徳はいつまでも生き続ける。

これは、日本が誇れる部分だと思う。

日本の教育は、ダメって言われることが多い。特に英語とか。

だけど、こういう道徳心みたいなところは日本の教育の成果なんじゃないかって思う。

2016年5月1日日曜日

[読書録] 『振り切る勇気 メガネを変えるJINSの挑戦』

全体的な感想


メガネで有名なJINS田中社長の著書。

起業した経緯から、大ヒット商品JINS PCを発売するまでの話、ウェアラブルデバイスとしての今後の話などうまくまとまっていて、とても読みやすかった。

全体を通して、田中社長の等身大な人柄が伝わってきた。

学歴や実績とかではなく、ビジネスパートナーにとにかく真摯に想いを伝えたり、意思決定したことに対してフルコミットする姿勢を競争力としている点は、すごいなと思った。

この本を読んで学んだことは大きく分けて3つあった。


1.勝負の場面では、とにかく振り切ってしまう


JINS PC発売のCMを打つ際には、年間で1億円のマーケティング費用であったにもかかわらず、1ヶ月で5億円を投じるという大胆な意思決定をしている。

その本気度が、大量受注を生み、結果的にそのスケールメリットによって、生産側にYesと言わせたりしている点が秀逸だなと。

何より、やると決めたことやチャンスが来たら、フルスイングする。本気でやれば、仮に失敗しても、それは経験になる。


2.本気の人だけを集めた方がうまくいく


「歴史上の戦も勝敗を分けるのは、人数ではなく本気度だったのではないか。・・・本部スタッフを50→30人に減らしても、業務に支障がなかった。」

とのことだった。

やる気のある人とそうでない人がいると、やる気のある人の本気度が下がってしまうという弊害も生まれてしまうので、その通りだなと。

この際、リストラという形ではなく、他への部署移動だったりと色んな選択肢を提示して従業員にオプションを与え、各自に決めてもらうというフローにも共感した。


3.サイエンスを武器にすることがお客さんのためにもなり、結果的に会社としての競争力につながる


新商品を出した際には、本当にそれによって効果があるのか、専門機関を通して検証をしている。これを、本書内では、エビデンスマーケティングと読んでいた。

それをしたことによる数値を出すことによって、単なる宣伝文句になるだけではなく、企業や行政が導入する際の意思決定にも役立っており、実際に多くの実績を残している。

このエビデンスマーケティングをしていなくて、実際に上辺だけの商品を出しているところは、先行者メリットや短期的な価格競争では勝てても、最終的にはスケールできていないとのことであった。



専門用語とかほとんどもなく、全体的に語り口調な感じだったので、とても読みやすかった。

個人的には、今後のウェアラブルデバイスの動向がとても楽しみだなと感じた。



細かい感想


その他、気になったことやメモしておいたことを挙げていきたい。
(本文をそのまま引用したわけではなく、勝手に要約したり解釈しているものも多数含まれる。)


#メガネを作るまでには時間がかかるから、カフェと一体型の店舗にする


ユーザーのニーズと体験まで考えて販売店を最適化する良い例だなと。

#店舗を出す際には、その場所がもつイメージとその店舗が目指すイメージを合わせると効果が高い


銀座に出せば、高級感。原宿や下北沢に出せは若いおしゃれ感。地方の国道沿いに出せば庶民感が出る。
場所によってブランディングするのはなるほどなと。

#メガネやサングラスが合わないと体調が悪くなることがあるように、品質に裏付けのない商品が世の中には多すぎるのではないか。


製造側と購入側では圧倒的な情報の非対称性があるので色んな分野でこれが起きているのだろうな。
製造側が倫理観と誠実さをもって、伝えてくれることは購入側にとってありがたいこと。それが、結果的にブランドへの信頼につながる気がする。

#自社で作ったJINS PCの効果検証をきちんとするために、専門の眼科医に協力を仰いで、統計的に効果を測定する


製品開発の分野において、統計的なアプローチは必須だなと再確認した。消費者が統計リテラシーをもったら、色んなサービスが破綻しそう。

#認知の低いブルーライトの脅威を知ってもらうために、情報感度の高い人達向けに体験イベントを開く


プロダクトの良さを知ってもらうために、まずは、そのプロダクトが解決する問題そのものを知ってもらうっていうアプローチには共感。
人って、自分にとって重要な問題にしか手を打たないだろうから。

#ショッピングセンターに入居している店舗にいらっしゃるお客様の目線を忘れるな。 彼らの目線は、全国区の目線といっても過言でないから。


すごくわかりやすい。これが恐らく正しいであろうことは、統計的にも証明できそう。

#アイディアがない状態で、ブレストをしに専門性の高い人に会いに行く。その際には、その旨を明確に伝えることで、信用してもらえて、新しいことがスタートする。


若い学生なら勢いでいけそうだが、社会人となるとなかなかやりにくいことではあるが。。。が、これをやるくらいのバイタリティが大切なのであろう。

#センシングデバイスとしてのジンズ製品は、守るべき既得権益がないので、イノベーションにフルスイングできる。


既得権益がないってことがある種の競争力になるっていうのは新しい視点だなと。

#日本人の経営能力、ビジネススキルは非常に高い。ただ、英語ができない、チャレンジ精神がないことだけがネックになっている。


確かに。日本人は世界で活躍しにくいって感じで漠然と批判されることはあるけど、その原因を因数分解していくときっとこういうことなんだろうな。逆に言えば、チャンスでもある。

#スタンフォード大学の教室では、先生の話を静かに聞くのではなく、少人数で活発にディスカッションをしている。こうした双方向の学びから起業のアイディアが生まれるのだろう。


今働いている会社では、社員の仲が良く、ちょっとした雑談から真面目なディスカッションにつながることが多い。きっと、そういう環境が大切なのだろう。
それを意図的に、優秀な人たちが全力でやるからこそ、特にスタンフォードは強いのだろうなぁ。

#起業する人たちが周囲に多いと、あいつができるなら私にもできそう、と思えてくるものだ。これは、勘違いかもしれないが、こういう環境は非常に大事。


その通りだと思う。企業に限らず、あることが当たり前の環境において、そのことをするのはかなり容易な気がする。勉強するときに、家より図書館に行った方が集中できるのも同じ理由な気がする。






2015年4月29日水曜日

[読書録] 人工知能、ロボット、人の心。

これから、人工知能の発達は必然。それらが、どのような順序で発達するのか、発達した先には人はどうなるのか。
それがリアリティをもって書かれていたので、大変参考になった。

今後の事業戦略や、個人としてのキャリア設計のために最新技術情報にはキャッチアップしておかねばならないなと感じた。

構成も会話形式でとても読みやすい。かつ、リアル会話形式であるが故に、その内容がすっと自分の中に入ってきた。
何より、情報の鮮度の高さが魅力だなと。通常の書籍であると、執筆した後の校正や出版準備で、時間に差が出がち。
この本は、電子書籍のメリットをふんだんに生かしているなと思った。

以下、気になった所のメモ。



2015年1月2日金曜日

[読書録] 『How Google Works』

Google のCEOが書いた名著。

実際の業務レベルでGoogleがどのように運営されているのか、具体的な事例も交えて書いてあったので、大変参考になった。
もう一度読みなおしたいと思えるほど勉強になり、すぐに実践したいと思える点が多かった。

とはいえ、なかなか読み返す時間もとれないので、あとで読み返すことを意図して、ここに気になって点を書き留めておきたい。


人材、労働環境、プロダクトへのこだわり


まず、全体的に見てキーワードとなりそうなポイント3つについて書きたい。

1.Google で採用するスマート・クリエイティブという優秀な人材


採用には圧倒的にこだわっている。
それもスマート・クリエイティブという人材にフォーカスしている。

スマート・クリエイティブとは、専門性とその経験値が高く、コンセプトを考えるだけでなく、すぐに実行に移してプロトタイプを作れる人材。

優秀だから高いパフォーマンスを出せるっていうのはもちろん、変化への適応性が高い。
もっと言えば、自らが世の中に変化を起こせるような人材にである。

普通の企業であれば、何か事業があり、そこへの必要なポストとしてそこに最適能力と人数の人材を適切なタイミングで採用する。
Googleでは、このスマート・クリエイティブがいれば、タイミングに関係なく採用するとのこと。

なぜなら、彼らは決まった事業に入れば求められた以上の仕事をこなすし、万一その事業がなくなったとしても他で活躍できたり、自ら新しい事業を立ち上げるポテンシャルがあるからである。

優秀な人材に面白い仕事をさせるために、会社を買収してポストをつくるくらい、人材にはこだわっている。


2.圧倒的に働きやすい環境


上記のようなスマート・クリエイティブは、仕事に対してエネルギッシュで、高いパフォーマンスを出す。
一方で、仕事に飽きてしまったらその場に留まることなく、もっと魅力的な場所を求める傾向が強い。

そんな彼らを留めるために、Googleは彼らが働きたいと思える環境を常に提供し続けている。

収入や労働環境という待遇面はもちろん、会社のルールとしても。

具体的な施策としては、
・トップダウンではなく、自由な発想が生まれるようなマネジメント
・一日の業務時間の20%を自由に使える20%ルール
・失敗が歓迎されるような企業文化

詳細は後述したい。


3.徹底的なプロダクトファースト


一般的に、セールスやマーケティングが重要と言われることもあるが、Googleはプロダクトを第一にしている。

売上を上げるためには、実際にセールスやマーケティングも重要であるが、そもそものプロダクトが魅力的でないとそれは一時的なもので終わってしまう。
何より、良いプロダクトは宣伝しなくても口コミで広がるし、良いことが伝われば売り上げにつながる。

そして、自分たち自身がサービスやプロダクトに対して、一番注文の多いテストユーザーである。
たとえば、自宅の設計図を何度も書き直す建築家のような性質をもっている。

また、プロダクトには、たんなる思いつきではなく、技術的アイディアがなければいけないという思想がある。


気になったポイント


その他、個人的に印象的だったポイントを挙げていく。

#社員の自発性を生み出す文化


問題を発見したら、週末でも構わずに働いて解決策を出してしまうようなもの。
それも、内発的動機付けに基づいて。


#何でも意見が言える文化を意図的につくる


能力主義を浸透させるには、異議を唱える義務が重んじられる文化である必要。
無口な人でも言えるように、任意ではなく、義務にする。

事業部ごとの独立採算にしない。なぜなら、部分最適が発生してしまうから。
あと、組織内で秘密文章は作らない。


#オフィスデザインは効率性だけでなく、人間関係も考慮して設計


オフィスデザインはその形によって、従業員を孤立させたり、地位を誇示させたりしうる。
スマートクリエイティブは、狭い場所に押し込み、交流を多くすることが大切である。
そこから、創造性のマグマが沸き上がる。


#人と働くこと自体に楽しさを、それがチームのパフォーマンスにもつながる


何かをやるには、よくあるお楽しみ企画よりも、本当の楽しさが大事。
同僚と一緒に働いたり、笑ったり、ジョークを言い合ったりする楽しさである。
だからこそ、わざわざ企画するときは、チームビルディングを目標にせず、思いっきり楽しむことを目標にする。

また、採用の段階でも納得できるユニークな基準がある。
それは、
・同じ空港で六時間足止めを食らったとき、一緒に過ごせる人か?
・午前三時にトイレでばったり会って、不快にならない人か?
といったものである。


#まずは小さな問題から取り組み始め、その後で大きく一般的なものにする


特定の分野に深い専門性をもったオタクが技術的アイディアの種となる。
また、小さい問題を具体的に解決する際に使った方法論が、全体に応用できる。


#多方面から大量に得られるビッグデータとその分析がこれからも重要な分野


大きな問題は情報の問題である。十分なデータとそれを処理する能力があれば、こんにち人類が直面するたいていの難題の解決策はみつかる。と、Googleは考えている。

問題をきちんと述べられれば、半分解けたようなもの 定量化の意義はまずここにある。
牛にセンサーを取り付けて、餌を与えるタイミングの最適化がよい例。


#効率的な会議に必要なこと


会議室にはプロジェクターが2台。
一つは常に、必要なデータを共有するためのもの。
基本的にはデータを元にした意思決定に使われるという。

オーナーを決め、その人が単一の意思決定者となり、オーガナイズもする。
議題は一日前にメールで送る。
議事録も二日以内に共有。
メンバーは8人以下が妥当。
時間管理はきっちり。
結論と行動計画をおさらいする。
会議中、内職は絶対にしないようにする。


#情報は基本的には共有して、会社全体の情報の流れを最適化する


取締役会で決まったことやそれに利用した資料も、法律上従業員に伝えられない事柄以外は、すべて社員に共有している。
それも、社内メンバーへの信頼がベースになっている。

また、社内のイントラネット上には、メンバー一人ひとりのOKGがある。
OKGとは、個人が決めて社内全体に共有しているもので、
objective 個人目標、key results 評価指標とその結果、からなる。
リーダーが部下に話しかけるときは、雑談よりも目標がどうなっているかを聞くことが多くなる。

そして、その際にはつらい真実でもリーダーに報告しやすい環境をつくる。


#自分のもとで働きたいと思うような上司であれ


事業は常に業務プロセスを上回るスピードで進化しなければならない。 カオスこそが理想の状況。その中で、業務を成し遂げる方法は人間関係。 意思決定を早くするための明確なヒエラルキーよりも大切。

そのために、リーダーは自分自身でしっかりと自己評価をする。

また、コンサートのチケットを無料で配ることで、会話のきっかけをつくったりもする。それもマネジメントの一つだとコンセンサスがとれている。

実際、メンバーとの人間関係を大切にしている。家族の名前とか、趣味とか、抱えている個人的な問題とか。最初の三週間はメンバーを知るだけに時間を使うくらいの勢いでリーダーは時間を使っている。

ユニークな点としては、社員一人一人に、自分の取り扱い説明書を書かせている。
特に、自分が壊れた場合の扱い方を書くように。
あと、上司がオフィスアワーを設けて、なんでも相談に乗るようにする。
これによって、余計な気遣いとかが生まれず、業務そのものに集中できるようになる。

それ以外にも、ホントに人に伝えるには、20回は繰り返していう必要があるという。
なぜなら、皆業務で忙しいから、それくらいいい続けないと伝わらなくなる。


#メールへの対応方法もスピーディーに無駄なく


メールの二度読みはただの時間の無駄。
すぐに処理するか、スターつけたりして明確に後程の対応にすべきかを決めるべき。


#スマート・クリエティブが働きやすい合理的なルール


ものごとを10倍スケールで考えると、スマートクリエイティブを繋ぎ止めるのに役立つ。
開発プロダクトを絞れば、それが会社の命運を決めると誰もが理解し、全員の姿勢が変わる。

「70:20:10 の法則」
メインプロダクト、成長プロダクト、発明段階のプロダクトの3つのパターンに分けてリソース分配を決める。

「20%ルール」
業務時間の20%を自分が好きなことに使える。
これは、専制的なマネージャーを牽制するという意図もある。


#ユーザーと顧客の利益が対立した場合、常にユーザーの側に立つ


サービスを使ってくれるユーザーと、実際にお金を払ってくれる顧客の利益が対立する場合も、ユーザーを優先する。

収益分析は後回しでも、ユーザーに焦点を絞ればあとは全部ついてくる。
ユーザーからの信頼は通貨と同じ価値がある。


#良い失敗をたくさんする


失敗か否かはデータで判断する。市場に出してみて、失敗と判断したものには追加投資をしない。
そのためにも、抗脆弱性なシステムがある組織である必要。
失敗や外的ショックにも耐えられ、それが知恵として組織の資産になる、そんな組織である。


#聞かれて嫌な質問を問い続けて、そのための対応策をとる


仮に、メインプロダクトに対して、懸念している特定の環境要因が起きた場合どうなるのか?
事前に考えておく必要がある。
変化が激しい今の世の中において、それも見越して対応しておく必要がある。


2014年9月28日日曜日

[読書録]「時間」の科学(PRESIDENT 2014/9/29号)より気になったものを抜粋

脳の特性を考慮した、能率をあげるための仕事の仕方

本から学んだことの中からすぐに使えそうなものを列挙していく

1.難しい仕事は、すぐに手をつけてしまい、脳の無意識の処理能力を活かす


仕事を

・難易度
・緊急性

の2軸で分けた場合、4つのパターンが出来る。

(A)緊急度[高] 難易度[高]
(B)緊急度[高] 難易度[低]
(C)緊急度[低] 難易度[高]
(D)緊急度[低] 難易度[低]

このとき、取りかかる順番は、

(B)→(A)→(C)→(D)

となっている。
難易度が高いものも、一旦頭に入れておけば、そのあとに脳が勝手に色々考えてくれるので、まず取りかかるのがよい。
それが、(C)→(D)であるといえる。


2.難しい仕事は、同時進行する


上で書いた通り、難しい仕事は一旦頭に入れておくと良い。

なので、2つ以上あるときは、1つ目に取りかかり、20分後には、2つ目にとりかかり、また1つ目に戻り・・・

みたいな感じで、時間を決めて交互に進めて行く。そうすれば、一方を考えているときに、もう一方も脳が無意識に考えてくれるのだ。


3.朝は論理的な仕事を!MTGも午前は問題解決、午後はアイディア出し


よく色んなところで言われていることだが、朝の脳は余計なものが入っていないため、とってもクリア。

そんな時間帯こそ、単純作業ではなく、論理的な仕事に時間を使うべき。

また、会社のミーティングも、

午前:問題解決など、論理的に行うもの
午後:問題の発見、アイディア出し等、クリエティブなもの

というようにすると良いらしい。


4.脳のワーキングスペース(メモリ)は常に空けるようにする


日本人には、「損害回避傾向気質」で考える人が多い。

難しい仕事があると、なんとなく嫌な気がしても、ずるずる不安を持ちながら先延ばしにしてしまう。

そういう傾向もあり、仕事中に脳のメモリ容量が小さくなる傾向があり、どうしても集中力が下がってしまう。

そのために有効なのが、以下の2つ

・TO DOリストの作成
・自分が抱えている不安や不満の書き出し(クリアリング)

上記をすることで、頭の中のワーキングスペースを占めていたことを頭の外に出すことができる

これらが出来次第、すぐに取りかかってしまうことが大切である


ちょっとしたことだが、早速実践して行きたい。

2014年6月18日水曜日

[読書録]「『Chikirinの日記』の育て方」を読んで

最近、出会う人が自分のメディアをもっていることが多く、そのメリットを多く聞かされたので、自分も改めてblogを書こうと思って読んでみた。

全体的に、平易なぶん大分読みやすかった。

あくまでも、メディアとして流行ることを目的としておらず、自分の日記として書いているというスタンスがとても軽やかでよいなと感じた。

あと、PVを意識し始めると、どうしてもタイアップ企画や講演、出版の話に飛びつきたくなる。

が、しっかりとした基準をもって取捨選択しているところがすごいなと。

他、印象に残った点は以下の通り。

ー記事で伝えるメッセージは1つに絞る

ー伝えたいメッセージを決めてから、論理構成を定めて、必要なデータを集め、記事を書くー時間がかかるか、想定した読者を増やせるか、の二つの軸で判断する

ー1番面白い文章は、他ではなく、自分のblogで書く

ー面白いエントリから連続して面白いエントリを出す!そうすれば、面白いblogだと認識してもらえる

ーすごいと思ったことは、Twitter上でほめる

ー企業や個人にインタビューし、そこから考えたことを書くエントリー知らない知識の勉強になる

ーもっとも大切なリソースは、あくまでも時間。10代、20代、30代とそれぞれたったの10年しかない。必ずしも、広告の最適化に時間を費やす必要はない

全体を通して、明確でぶれない意図があるからこそ、届く人にしっかりと届くものになっているのだと思った。

ブログを書いている人にはオススメの一冊!


2014年4月8日火曜日

[読書録]一度は読んでおくべき名著、『影響力の武器』のまとめを読んでわかった7つの武器

『影響力の武器』という名著をコンサルの友人から薦められたので、読もうと思った。

・・・が、あまりにも長いので、影響力の武器のまとめ的な本を読んだので、ここにまとめたい。



1.人は値段で品質を判断する


高いもの=良いもの
安いもの=悪いもの

という無自覚な思い込みを人は持っているらしい。

例として、とある宝石店の話が出ていた。
この宝石店では、なかなか商品が売れないため、店主が値段を半額にしようとスタッフに頼んだのだ。
スタッフは、間違えて2倍の金額にしてしまったのが逆にすぐに売れたという話。

確かに、自分でも高い商品が大幅割引されている場合は、「お得だな!」と思ってそちらを選んでしまう。

アウトレットなんて特にそう。


2.相手になにかしてもらったら、自分もお返しをしなくちゃと思う


例として挙がっていたのは、とある協会が寄付を募る話。

道行く人にお願いする前に、まずは花束を渡すという。

そのあとに、寄付の話をしてうまくとりつけるのだとか。

一概に悪いとは言えませんが、意図的にやっているとしたら少しエグいしますな。

人間には、「借りをつくったまま」という状態は、非常に居心地が悪い。反射的に、借りは返そうとする無意識の習慣がある。
とのこと。

自分の場合、服とか買いにいって、店員さんに長時間相談にのってもらうことがある。

そうすると、「ここで何か買わなきゃ、何かわるいな」って思ってしまう。

人間ってそうやって教育されているんでしょうね。


3.人は、コミットメントと一貫した行動を取ろうとする


一見すると、これはとても良い性質!

新年とかにSNS上で抱負を綴ると、少なからず効果があるというのはこの性質でもあるのだろう。

一方で、これを逆手に使うと、エグい営業ができるとのこと。

例えば、とあるセミナーへの参加を促す営業とかで、

A:「あなたは変わりたいんですよね?」
B:「はい」
A:「本当に変われる人と、そのまま終わる人の違いって何だかわかりますか?」
B:「えーと、ちょっとわからないです。。」
A:「すぐに大きな決断をできるかどうかです!新しいことにチャレンジ出来るかどうかです!そう思いませんか?」
B:「はい、そう思います。」
A:「よくわかっていますね。それで、○○プログラムがあるのですがどうしますか?」
B:「…」

みたいなことは、よくあるパターン。

実際に、就活生とかをターゲットにしたセミナーの勧誘を受けた友人から聞いた話である。

もちろん、このやり方が良い悪いは別として、(誘導された)一貫性ではなく、本当にそれが必要かどうかで判断する力を養う必要がある。

(逆に,このコミットメントの力を上手く使えば、自分の目標達成に役立てられる!)


4.決断に迷ったときに、他人と同じように考え、行動する性質がある


これは、「社会的証明の原理」といわれ、厳密には

私たちは他人が何を正しいと考えているかに基づいて物事が正しいかどうか判断する

とのこと。

  • 店の前に行列が出来ていれば、美味しいのだろうなと思ってしまう
  • 高速道路でみんなが制限速度をオーバーしていれば同じように走る
などなどもこの効果らしい。

特に、

  • 自分が確信を持てていないとき
  • 状況が曖昧なとき
  • (影響を与える人が)自分と類似しているとき(=類似性)

を満たすとき、強く効果を発揮するとのことだ。

よく、自社のサービスを宣伝するときに,「○○社も導入しています」みたいに書くのもこの効果の一種である。


5.好意をもった友人の頼みは断れない


自分が好意を持つ(同性異性問わず)人の頼みは断りにくい。
その奥には、

  • この人がいうなら信用できる
  • この人を喜ばせてあげたい

という心理が働くからだという。

前に、友人から保険の営業マンを紹介してもらったときのことを思い出すと、この効果を使っていたのだと思う。

保険の紹介をして、ちょっとでも気に入ってもらったら、その人と一緒に写真を撮る。
そして、別の友人を紹介してくれといい、その人に写真付きで自分のことを紹介してくれた頼む。
そのテンプレは、その人があらかじめ作ってくれて、その中には「大切な○○くんに是非紹介したい」みたいな文言がある。

今思い出すと、典型的なこの手法の例であった。
(もちろん、その人の保険とその人が良いとか悪いとかはまた別の問題)

あと、この好意については、法則があり、

魅力ある外見の人は、他人の好意を獲得しやすい。美男美女は、相手にイエスと言わせる心理的影響力が強い。その効果は、私たちが思う以上に強力なもの。
とのこと。

確かに、思い当たる事は多々ある。

保険の営業がキレイな女性だったり、ホストとかティッシュ配りの人がイケメンぞろいなのも、納得できる。

小学校とかで、同じ悪さをしても、かわいい子はあまり怒られないという事例も挙がっていた。

エグい話である。

プラス、以下のような人にも好意を持ちやすいらしい。


  • 自分と似た人
  • 自分に適切な賞賛を送ってくれる人 

後者に関しては、"適切な"っていうのが割とキーワードな気がする。
ホメ上手ってことだろう。

6.人は、権威にとにかく弱い


ハーバード大学の教授が○○と言っている。

なんてきいたら、疑いもせず、「へぇ〜」って思ってしまう。

権威のある専門家がいうのであれば正しいだろう、と思ってしまうのだ。

特に、

  • 肩書き
  • 服装
  • 装飾品
の3つに影響を強く受けるとのこと。

見た目って大事ですな。


7.希少性の原理


人間は、「手に入りにくくなるとその機会がより貴重なものに思えてくる」「ある品物の数が少ないか、少なくなりつつあると、欲しくなる」ものである。

というのが希少性の原理らしい。

身近なとこでいうと、
  • 期間限定
  • 数量限定
  • タイムセール
なんていうのは、これを使った典型的な例。

販売側はこうやって見せ方を変えるだけで売上が数倍も変わってくるとか。(たとえ嘘だとしても)

本文の例だと、「今買っておかないと、今後数ヶ月は供給が無くなる」「今買わないと、他の人に紹介してしまう」みたいなさらに踏み込んだ例が紹介されていた。

これらは、あまり意識していないけれどよく使われているなと。

以下が、実際に読んだ本。かなり事例が分かりやすく書いてあったので、オススメ!
そして、原著!い、いつか、読んでみたい。。。